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大悪司は2001年にアリスソフトから発売された商業エロゲである。公式ジャンルは地域制圧型シミュレーション。
2019年の11月に購入した。アリスソフトと言えばランスシリーズだが、もちろん他にも評判のいいシリーズがある。ランスシリーズに次ぐのが超昂シリーズと本作から始まる大シリーズではないだろうか。
シミュレーションゲームとしての面白さはエロゲという枠を超え、一般ゲのそれにも匹敵するほどの完成度だ。発売された2001年の他のエロゲと比べてみると、あらゆる面でずば抜けていたのではないだろうか。ここ数年たまにDL版が500円で叩き売られるので、買うといいでしょう。
公式紹介
「よし…帰ってきたぜ…」
俺の名は『山本悪司(やまもとあくじ)』。
このオオサカ市を管理する地域管理組合わかめ組の幹部だ。
ウィミィとの戦いが激しくなって行く中、民華さんにいいトコ見せるつもりで行った戦地があんな修羅場だとは、思いもしなかったぜ。
おかげで帰って来るのに3年もかかっちまった。
敗戦国の捕虜っつーのになってなかったら、もーちょっと早く帰って来れたんだが…
ところがだ、組に帰ってみれば、ワケ分からんヤツが組の敷居をまたいでいるわ、蘭のヤツが組のトップにいるわ…。
なんでも、‘組織のトップは女がならないといけねぇ’なんてウィミィの指導方針らしいが、組に‘恩を仇で返した’事にはちげぇねぇ。
一発かましてやろうとしたんだが、帰ったばかりで本調子でない俺は逆にのされちまった。
んで、どこか別のところへ捨てられた俺は‘ミドリガオカ青年奉仕団’って所へ連れて行かれたんだ。
この青年奉仕団っつーのはどうやら、例のウィミィの政策のせいで、わかめ組で内部争いが起きちまって地域管理の方が疎かになっちまったんで、新たに作られた組織らしい。
…ちょうどいい。
俺は青年奉仕団の女達をこまして、俺の根城にする事にした。
みてろよ…元々ここは俺のシマだったんだ。好きにさせてもらうぜ。
感想
[ストーリー&キャラクター&エンディング]
去年の5月頃に一回プレイしたが、こういう類のゲームはやり慣れてないので、コロシアムあたりで詰んで、ずっと放置していた。そして今年の長期休みのときに、ちゃんと仕組みを理解してプレイしようと思い、またプレイした。仕組みを理解すると、瞬く間に時間が溶け、自分の中の本作への評価も大きく上がった。ちなみに、自分は本作をプレイしすぎて頭が痛くなりました。ゲームにこれほど夢中になれたのはいつぶりでしょうか。頭痛が治ると、早く寝よう、じゃなく続きをするかと考えてしまった。
ゲーム部分の完成度は高いのだが、ストーリー部分も他のAVGに劣らない出来だった。戦後のオオサカが舞台で、かわいい女性キャラを容赦なく娼館にぶちこむ魅力的な主人公がオオサカの様々な勢力を次々と敵対、制圧していく話。ランスは01と02しかやってないが、自分は圧倒的に悪司のほうが好きだ。眉毛が髪とつながっているところとか。また、本作には一般ゲでやると間違いなくアウトな要素が複数見られる。これについては賛否両論かもしれないが、ある意味エロゲらしいじゃないだろうか。そして、キャラごとに特定の条件を満たすとキャラクリといって、エンディングで少しそのキャラのその後の話が見られる。ステータスも少し上昇する。これを全部集めるのは大変。
話の大筋は決まっており、敵対する勢力の順番も決まっている。そこに複数のヒロインから一人選ぶ形である。選ばないこともできる。また、一発ルートというルートに入ると、ストーリーが終わったところに新たな勢力と敵対することになる。
本作はとにかくキャラが多い(もちろんボイスはない)。そのせいで一人一人のキャラのイベントは少ないが、キャラ自体特徴的であることが多い。ここで印象的なキャラについて一言感想のようなものを述べる。
主人公陣営&奉仕青年団
山本悪司:戦闘において有能。気力が高いので助かる。
岳画殺:序盤で無条件で加入。13歳で主人公のおば。アウトな設定の一つ。戦闘は気力が少ない以外有能。
大杉剛:序盤で無条件で加入。命中が少し低い以外戦闘において有能。主人公のレベル上げ要員。つぶらな瞳。
島本純:序盤で加入。裏切りそうなセリフを言うが、最後までついてくる。内政において有能。
神原夕子:もっと激しいエロシーンがあってもよかったかなあ。
白民華:立ち絵が一番好きその1。キャラがあまり濃くなかった。
青葉&加古&衣笠:序盤で無条件で加入する三人組。青葉の手加減以外、あまり使いどころがない。加古が食いすぎて死ぬのは面白い。
わかめ組
森田愛:こいつを見てるとなごむ。コフンのイベントも面白かった。
那古教
野山めぐる:よくわからないキャラ。戦闘において有能。
市議会
山沢麻美:加入条件が少しだけ厳しい。戦闘も内政もトップレベルの有能さ。
桃山組
リンダ&ハイネ:戦闘においては作中最強でしょう。いろいろと制限がかかるが。
支倉アエン&キリカ:立ち絵が一番好きその2とその3。アエンのスキルが強い。ランダムに襲ってくるのはさすがにきつかった。
炎どん子:特徴的なキャラ。かわいい。
ウィミィ
イハビーラー:立ち絵が一番好きその4。エロシーンはもっとあってもいいじゃないかな。
プリシラ:おっぱい。
一発陣営 あんま印象的なキャラがいなかった。一発はキャラが濃いが、好きと言うわけではない。
その他
鬼門始:東方〇助にしか見えない件について。最初弱いと思っていたが、回避の強さを知り、一軍に昇進。悪司&大杉&鬼門でずっとレベル上げしていた。
山林吹雪:某有名マンガのヒロインにしか見えない件について。そのせいで同じ地域にいる古宮陽子がその主人公にしか見えない件について。厳しい条件がつくが、作中最強級のキャラ。
真田電波:そこまで思い入れがないが、パンダを捕獲して手加減覚えさせたので、重宝していた。
九条宗麟:戦闘において地味に強い。
柳秋光:ロリコン疑惑。戦闘において強い。攻撃力が低めだが、命中と回避がトップクラス。
悪司、大杉、殺ちゃん、山林、山沢、柳が自分の中で一番強い組み合わせかな。次に鬼門、宗麟、アエン、野山あたりが来る。
[ゲーム性&システム]
難易度がすこし難しめだが、戦略シミュレーションをやらない自分でも二週目から楽しめたのでちょうどいい難易度かもしれない。
本作のゲーム部分はお金を稼ぐ内政部分と迎撃や侵攻するときの戦闘部分の二つに大きく分けられる。こういうジャンルのゲームをやりなれてない人間にとって、仕組みを理解するまで時間がかかるでしょう。自分は地域の獲得金額の上限やキャラの回復を最初理解できていなかったので大変だった。しかしそこがわかるようになってくると、あっという間に時間が溶けていくでしょう。
戦闘部分は体力と気力の管理、そして敵キャラの捕獲を意識すれば問題ないでしょう。内政部分はモブを眼鏡っ子やモモメイドにすれば問題ないでしょう。序盤から中盤までは内政要員が不足した印象がある。また、キャラを地域に配置して金を稼ぐ以外の収入源として、娼館がある。そして女性キャラは殺ちゃん以外全員娼館に入れられる。いいねえ。いいねえ。
CGをコンプリートするためには最低7周必要。慣れてくると一周は15時間弱でいけるとしても、100時間は超えてしまう。ボリュームは充分ある。しかし、本作の敵対する勢力の順番はほぼ決まっていて、話の大筋は各ルート同じである。一定条件を満たすと、最初に変化をつけられるが、そんなに大きな変化があるというわけではない。なので、私のような戦略シミュレーションがそこまで好きではない人にとって、コンプリートするために周回するには厳しいところがある。
また、二十年前のゲームだからだろうが、セーブができるのはターンの終了時のみなので、戦闘パートでやらかすとやり直すのが結構面倒。
[エロシーン&CG&アニメーション]
本作の最大の問題点(?)をあげるとしたら、エロシーンの短さではないだろうか。シチュエーションは凌辱が多めで概ね満足だが、差分がなく、数クリックで終わるものばかりだった。時代のせいだろうか。ほかに文句を言うとしたら、エロシーン以外ほとんどCGがなく、キャラの立ち絵の差分が数名以外ないってところだ。キャラが多いので、仕方がないのかもしれない。
絵はアリスソフトなので、完成度がとても高かった。
また、戦闘時のキャラのアニメーションがそれぞれ違っていて、スキルのアニメーションもある。また、死んだときの墓もキャラによってデザインされている。
[音楽]
耳に残るBGMばかりだった。その中でも、「楽しい組織運営」、「タマネギの部屋」、「がんばれ悪司」が特に印象に残っている。
[まとめ]
時間が溶ける名作。文句なしの面白さだ。音楽、キャラ、ストーリー、ゲーム性のどれをとっても非の打ち所がない。しかし今やると、エロシーンの短さやシステムの不便さが気になる。それでも発売された時期を考慮すると、ほとんど完璧な作品と言えるでしょう。DL版がよく500円で売られるので、コスパは最強。大シリーズの次回作である大番長もすこぶる評判がいいので、楽しみだ。