エロゲ日記(仮)

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『夢幻廻廊』感想

3088字

紹介

基本情報

夢幻廻廊は2005年にBlack Cycから発売された商業エロゲである。

公式ジャンルはペットライフADV。

 

購入時期や事前情報

2021年10月に購入した。ブラックサイクの作品で、聞いたことのあるタイトルだったので、購入した。

 

おすすめポイント

ハードなマゾゲである一方、テーマ性もある。

 

リンク

FANZA版


公式紹介

目を醒ますと、そこは時代がかった大きなお屋敷の一室。
何故か自分の名前も、何故ここに居るのかも思い出せない。

「――そう、名前もないのね」

黒の喪服のようなドレスを着た一人の見目麗しき妖艶な夫人の姿があった。
その深い暗黒色は、夜光虫が漂う深海のようでもあり、
見つめていると盲目の深海魚のようになって為す術なく水底へと引きずりこまれてしまいそうな…。

「妾(あたし)が、あなたを拾ったの」

婦人の言葉を聞いて少年の瞳から唐突に涙が溢れ出した。
そう、少年には身寄りがなかった。
身寄りだけではない。彼には何もなかった。
この世で唯一、孤独だった。

「あなた、何処へも行く場所がないのね……?」

婦人の言葉は優しく、少年の心を柔らかく包み込んだ。
涙が溢れたのは、少年のことを見つめてくれる人がいる――
ただそれだけのことが与えてくれる、安心感からか。
婦人の言葉のひとつひとつが、少年へ潤いに満ちた感情を与えてくれる。

人間らしさ――そう言って構わないのなら、
その人に見られ、言葉をかけられている間だけは、自分が人間なのだということを実感することができるのだから。

「ぼくを……ここに置いてください」

気付けば少年は涙を流しながら婦人に懇願していた。
婦人は変わらぬ微笑を浮かべながら言った。

「貴方が望むのなら、<キャトル>として、屋敷に置いてあげましょう」

抗うことを知らぬ少年は、彼女の美しさに圧倒されたからか、
それともこの幻想的な屋敷醸し出す雰囲気の所為か、婦人に誘われるがまま、
ただ――ただ、頷いた。

そして少年は体験する。
屋敷の中で起こる様々な悦楽を。
初めて味わう、存在の肯定を。
虐げられる快楽を。
生の悦びを……。

 

感想

ストーリー&エンディング

記憶喪失の主人公がある館に迷い込む。そこで「かとる」というなの奴隷として「いっぷ」という名の調教を受けながら生きていく話。館には女主人、娘4人、メイド2人、かとる、グモルクがいる。4人のお嬢様から「いっぷ」を受ける相手を選択をしてゲームを進める。一定回数の「いっぷ」を受ければそのお嬢様のエンディングを見られる。どれも大まかな流れは、館のおかしさに気付いてもともといた現実社会へ逃げる、という感じだが、現実社会で孤立し、寂しさを覚え、再び館に迷い込む。その際に再び記憶を失い、ループする。一定のエンディングをみれば段階が上がる。第一段階から最終段階と全部で8段階ある。段階が上がるにつれて、館の真実を次第に女主人とグモルクから吐露される。また、赤の日と黒の日があり、これらは基本的な流れは同じだが、黒の日のほうはエロシーンがより過激で、エンディングの内容も館の真実に近づいている。それから二人のメイドにも短いが独自のルートがあり、このすべてを一度見れば、天国という真のエンディングを迎えられる。

本作は自称しているように、Mゲーである。確かにその側面が強いが、それがすべてではないことに留意したい。「現代社会で自由を獲得したのと同時に、誰からも必要とされずに孤立してしまう」ということもテーマである。このことを語らないわけにはいかない。もちろん、館から逃げ出すたびに、モノクロで、人群れの中でぽつんと一人でいる主人公のCGはわかりやすくそのテーマを伝えてくれている。主人公は館の中でひどい目に遭いながら、自分の生きる価値を獲得し、そこに依存した。幾度もループを繰り返していくうちにだんだんとかとるであることに慣れ始め、人からも自分からも自分を人間だと思わなくなる。終盤で、主人公はそのことを認識していることがわかる。つまり、現実の社会の中で孤立した人間として生きることよりも、館の中で犬として飼われるほうを望んだということである。

人間は群れる動物である。かつての社会の人々は例えば大家族や階級関係により生まれつきの強い結びつけを持っていた。下人の子供として生まれたら一生人からこき使われるでしょう。今日から見れば、人権のない遅れた時代ということになるでしょう。しかし、私も時々実感するのだが、本当にそういう縛りから人を解き放てば、今度は寂しさを覚えてしまう。新しいクラスになって一か月もしないうちに、いくつかのグループができる。そのグループでパシリのように使われてもいい、リーダーの金魚の糞になってもいい。一人でなければいいのだ。グループに入れない人もネットや読書に「逃げる」。ネットで人と関わり、読書で現実から目を背ける。本作はそれをマゾヒズムと結びつけたわけだ。また、このことについてはネットで調べれば本作についての考察があるので、そちらを見るといい。

エンディング後に

死ななきゃたどり着けない天国なんて、この世じゃ何の意味もない

というセリフがある。これが主人公の出した答えだろう。

他人んちの飼い犬を見る目が変わりそうだ。

 

キャラクター&エロシーン&CG

女性キャラは全部で7人いるが、好みのキャラデザがなかった。また、主人公との関係性も歪なため、誰かを好きになるとかは一切なかった。

CGは一部いいものもあったが、多くのキャラデザや一枚絵に古さを感じる。

エロシーンはSMが大半を占め、かつ主人公がショタである。ブラックサイク特有のグロや猟奇さはあまり見受けられなかった。

回想で、エロシーンだけでなく、その前の会話シーンまで入れてるように、本作はストーリーとエロが融合してる、つまりエロ抜きでは語れないストーリーのためにエロがあるタイプかついわゆる前戯や本番のないシーンも多いため、抜きゲとは言えない。主人公が肉体的に気持ちよくなるというより、いろんな手を使って調教されるシーンが多い。もちろん、Mであれば、精神的に抜けると感じる方とおられるでしょうが。

私もMだと自認しているが、本作のエロは抜けないと感じた。私はソフトよりのMなので、どちらかというと、責められつつもある程度優しくしてほしいわけなのだ。しかし、本作は主人たちが犬にしつけを施すことをエロシーンとして位置づけているので、挿入もあったりするが、それよりも理不尽なほどの調教がメインであった。快楽は一切なく、ただの苦痛だけがあるシーンも多くある。そしてもう一つの理由として、本作のヒロインたちはこれらの行為をSMだと思ってないところにあるではないかと思う。主人公は男ではなく畜生だと思われているので、感情移入が難しかった。かなりハードなMでないと楽しめないと思う。

 

音楽

BGMは全体的に良い仕事をした。幻惑的というか、ただのエログロとは違う、わびしさや耽美さが入り混じったような雰囲気を醸し出していた。

OPの海原エレナが歌う「トキのかたりべ」は良かった。EDの「夢幻廻廊」はこれはアレンジ(音楽回りの用語は知らないので、多分)で、どちらも印象的だった。

 

おまけ

サウンドトラックが別ファイルで同梱されている。

 

まとめ

大きな起伏はなく、次第に話が見えてくるタイプのストーリー構成だった。そのため、ノベルゲとしてはあまり楽しめなかった。一方で、マゾゲとして楽しむためのハードルが高いが、テーマに次第に気づくと、何とも言えぬ寂しさとどうしようもない悲しさを感じた。そこは評価したい。

続編に期待。